PINFU

毎日書く訓練

ディオニソスの祭り(7)

2024/02/23
 Nさんへの手紙を書いた。おととい半分書いて、今日後半を書いた。
 町田康が『私の文学史』で自意識の話をしている。手紙を書くと、日記や今まで書いてきた小説はだれに宛てたものでもなかったから自意識はなかったけれど、Nさんに対してというより、これがそのうち本になって、だれかに読まれると思うと、自意識がでてきて、けっこう苦しかったけど、しょうがない、諦めるしかないし、これは一回書いたところで消えるものでもなくて、何回もやりとりをしているうちにそのうち消えるだろうから、もしかしたら、わたしはほかの人の書いた往復書簡は最初の方がおもしろくない。お互いに自己紹介している感じが、たぶん二人で純粋に、手紙をやりとりをしていたら、つまり今後本にする予定なんかまったくなくて、単純に二人で手紙のやりとりをするだけだったら書かなかった、お互いの関係を紹介するような文章がつまらなかったんだと思う。でもそれは回数を重ねていくとなくなって、途中からおもしろくなる。そうなったらいいなと思う。
 きのうは同僚と飲み会だった。もともと三人で飲む予定だったが一人来られなくなって、Tとサシ飲みだった。
 話している最中、たぶん、はじめてサシだったから、大事なことを言いそうになっている、仕事の話とか、真面目な話をしそうになっている自分に嫌になって、話題はたくさんあるつもりではあるんだけど、なかなかいきなり同僚に小島信夫の話はできないし、そいつは文学部だったらしいけれど、でも小説が好きだったわけじゃなくてなんとなく入っただけでぜんぜん文学の話とかできない、って言っていたけれど、でもそっちに進めたってことはたぶん才能はある、って言いかけて、なんて上から目線で、真面目っぽい話をしようとしてるんだ、と思って言わなかった。
 自分が小説を書いていることは仕事の仲間にはだれにも言わないつもりでいたけれど、Tには小説を書いていること、日記だけど本にしたこともあることを話した。他言無用で。