PINFU

毎日書く訓練

万事快調(24)

2024/01/26
 ヒムカのノート。小さい字でびっしり埋まったノート——ぼくにとって神秘主義とはそのノートだった。背が黒で灰色の表紙の薄いノート。それが数十冊あった。さまざまな本から書き写したもので、ヒムカは昔の人が神聖な書物をそうしたようにそれを書き写したのだ。手書きの魔法の書。神秘の書。
西崎憲「おまえ知ってるか、東京の紀伊國屋を大きい順に結ぶと北斗七星になるって」『未知の鳥類がやってくるまで』筑摩書房、p.22)

 まだ読んではいない、そのうち読みたいとは思ってはいるが、なにしろ長いので、大江健三郎『燃えあがる緑の木』がNHKの「100分de名著」で紹介されて、指南役が好きな小野正嗣(嗣の字をソラで書けるくらい好き)だったから観たら、いい回で、伊集院が、
 自分たちが影響を受けた本の好きな一説を集めたら、福音書になるんだっていう
 すごい
 って小野正嗣が感動するシーンがあるんだけどらインスタのストーリーは基本二十四時間で自動的に消えるものだが、プロフィールに残したいものは残すこともできて、その回も残しているが、見たけれど、五年前の自分の感想なので見ていて恥ずかしい。
 方眼ノートにわたしも書くようにした。今までにも何度もトライしていたが、結局めんどくさくなってやらなかった。今はまた新しい形でやり始めていて、これまでは記録としてあとで読み返せるように、それこそレイアウトというか、なんという本の、なんページから抜き書きしたとか、①の文章と②の文章は一行空けて見やすいようにするとか、いろいろしていたけれどめんどくさいから、どこから抜き書きしたのかも書かない。
 さすがに改行するけれど、一行空けてわかりやすいようにするとかもしない。とにかく「忘れるための抜き書き」で、これは燈里さんが「忘れるための日記」と言って、手帳に汚い字で、と言ったら失礼だけど、でも本人は「あとで読み返さないようにわざとそう書いている」と言っていて、わたしの抜き書きノートは汚い字ではないけれど、べつに丁寧にも書かない。普通に走り書き、メモをするような感じで書く